2020年5月26日火曜日

ダイカストマシンと周辺装置、計測器編

10cmしか計れない定規で1cmは計れない。
デジタルで表すと0cm10cm11cmの物体でも10cm20cm11cmとは出てこない。
又、毎秒1ccのコントロールが出来るポンプに毎秒10ccしか計れない流量計を取り付けた場合は10cc単位で無いと0cc10cc20cc・・
と言う表示になる。
この内容を頭に入れて装置を見ていかないと間違いにつながります。

圧力計に関しても同じ様な場面が出て来ます。
離型剤の塗布量を細かく制御しましょう。
細かくは「何ccですか?」を問わないと話が進まないので、
ここでは、細かい制御は毎秒1ccとしましょう。
毎秒1ccの制御が細かい制御ですと、毎秒0.1ccのコントロールが出来るポンプと毎秒0.1ccの測定が出来る流量計が必要となります。
細かく制御する部品は、外部混合式のスプレーと加圧タンク式のポンプとなります。
後は、流量計メーカを選定ですが、水溶性離型剤の特性を良く理解して流量計を選定しないと、流量計内の通路の詰まりなどで測定が出来なくなってしまします。(流量のバラツキが出たり、測定できなかったりします。)

離型剤の流量測定をやって見える方で、綺麗に40ccとか50ccとか切りの良い数字が表示されているので有れば、一度流量計を確認されて見てはいかがでしょうか。

2020年5月25日月曜日

アルミダイカストの材料管理

有る問い合わせから、料のトレサビに関する事を書いて欲しいと依頼されました。

材料購入先を明確にする。
① ダイカストメーカーが4輪または2輪の認定を受けているか否か。
2000年前半頃は、非常に厳しかった時期がありました。

    材料メーカーから購入した材料ロットのミルシート(分析記録)が有るか否か。
材料メーカーから購入した時の、材料ロットのミルシートの保管と分析片    の保管。
   ダイカストメーカーでの材料ロットの試験片と検査記録の保管。
⑤ 試験片の保管年数。
例)
材料メーカーから購入する材料を、荷卸しする前に材料メーカーからのミルシートとインゴット荷姿の状態(粗悪品でないか)の確認。
材料ロットの分析片を即座に分析機にて分析して、「確かな材料」と確認して、荷卸しをする。 → 保管場所へ → 先入れ先出しが出来ている事。

アルミダイカスト材料の溶解
溶解温度 → アルミは、650°Cの溶解温度以上になると、外気中のガスを吸収する様になるので、あまり高い溶解温度に設定されている事が有れば、注意が必要。
*溶解温度が高いからと言って、心配は余りしなくて良い、ダイカストでは問題が出るガス量では無い。(ハードスポットなどの原因にはなります)
⑥ 鋳造条件表に準じて溶解温度設定がされているか。
⑦ 炉中分析がされているか否か。
   異種材料を同じ工場内で製造している所は、11回程度分析を行う。
   炉中分析、材料メーカーからの材料ロットのミルシートは、分光分析機で行われる。
分光分析は比較検査方法ですので、比較する「マスターピース」がJISで有り、ISOで有りの規格に入っている事。材料メーカーも同じ「マスターピース」で行っているかの確認も必要になります。
炉中分析は重要な事です。

余談ですが!
ダイカスト工場に中には、金型交換用の道具、溶解炉清掃の道具などが置いて有ります。
ある日、有るはずの道具が無い。結構な重みが有る道具で生産停止して探しに探しました。
出て来た所は、溶解炉の中から。早急に炉中分析を行いました。
分析結果は、FeCuが高い。
何時から無いとか、直近の炉中分析の判断から、1日の生産分をスクラップにしたとかの苦い経験が有ります。

分光分析では解らない事も有る。
分光分析は、アルミの中に含まれる(不純物)Cu,Fe,Mg,Mn,Siの分量を見る為の物で、Cuの純度、Siの純度と言うかCuならCuの品質は解りません。
粗悪なCu,Siを使われていても、分光分析にはSi 9.6%と表記されてしまいます。
「分光分析には入っているけど、強度が出ない」その様な事も有るので、
⑪ 試験片を作らせて引っ張り試験も定期的に行う。

⑫ 溶湯清浄確認を1日何回行っているか。
   溶解炉の種類、溶湯の作り方、インゴット買いなのか、溶湯買いなのかも 
   見た上で、溶湯清浄化処理を行っているかを確認する。