2008年6月27日金曜日

金型温度とチル層

工場の金型冷却水に対する考え方を、これから変えなければ、良い品質の
ダイカスト品が出来ませんし、品質の保証が出来なくなる事です。
品質の保証 例 (一般ダイカストでの話し)
最近ダイカスト品で、「強度」を要求してくる製品が有りますが、
ダイカスト品と言うのは、巣があって当たり前の鋳造方法であり、まして強度を
求める話しも大丈夫かな??と心配になってきます。(求める強度にもよりますが)
現状どの様にして強度を出しているか??たとえば、例として上げると。
ダイカストと言うのは、金型に溶けた金属が鋳込まれた瞬間から凝固が始まり、
金型に接している部分から急速に固まって行きます。
金型に接している部分(急冷される部分)にチル層が形成されます。
チル層と言うのは、内部組織が密になっており、非常に固い層です。
普通の鋳造では、0.3㎜のチル層が出来るかな??と言う所ですが、非常に薄いのは確かです。
その緻密で固い層が出来るおかげで、強度が出てくるのです。
ダイカストでガス部品が鋳造されていますが、「巣が有って当たり前」のダイカスト品が部品と使われるのは、チル層が出来てガスが漏れないのです。

金型の冷却回路の中に、冷却水の堆積が出てきたらどうなるでしょう?
金型の熱交換機能が低下してきて、金型温度が上昇してきます。
金型温度が上昇して来ると、当然ダイカストされた製品が急冷されなくなりチル層が
より薄くなって来ます。
薄くなると、強度低下の問題や、漏れの問題が出てきます。
見た目では解りません。金型温度が上がっているので、見た目は非常にキレイな製品かも知れません。
間違った話し、強度が出ない時冷却水を止めて金型温度を上げ、湯回りを良くする事をやる場合が有りますが、逆効果になる事も有る!と言うことです。

2008年6月26日木曜日

工場循環水

何台ものダイカストマシンの冷却水を供給する為に、工場横にピットを掘りその水を各機械に循環させているのが、何処のダイカスト工場でも行われていることだと思います。
しかし、ピットが問題となる。
ピットを造るにあたり、当然コンクリートでプールを作る訳ですが、そのコンクリートの成分が冷却水にしみ出し金型冷却回路に悪さをします。
冷却水の成分分析を行うと、コンクリートの成分が出てくる事が多々有ります。
コンクリートの成分を冷却水に溶け込ませない為に、内壁にペイントする事も有りますが、(小学校、中学校のプールの様に)なかなか!24時間操業の年間200日以上稼働している工場として、1年に一回、もしくは2年に一回のペンキ塗り替えが可能かどうか?
作業として、ピットの冷却水を抜き、汚れを落とし、水気を乾燥させて、ペンキを塗り
ペンキを乾燥させて水を張る。早くて5日?1週間?何日で出来るでしょう?
いずれにしても大変な作業です。

2008年6月25日水曜日

ダイカストを行う為に本当の注意点

ダイカストの仕事を長年行っている中で、実際に力を入れなければならない部分を記載していきます。
本来ダイカストとは、金型と言う熱交換機を使いダイカストする訳ですが、熱交換機で有る金型冷却水にあまりにも配慮が無い事がダイカストメーカーを見て解ります。
冷却水に付いて、「日本は世界中で一番良い水で有る」などと言う人も居ますが、
答えは!「良い水では無い」と言う事です。
水道水、井戸水を含めて、人間が飲んで美味しい水と言うのは、ミネラル分を含んでおり、
飲んで美味しい水な訳です。
金型冷却水、機械冷却水にその水を使用すると、ミネラル分が悪さをします。
カルシューム、ナトリュームなどなど!
工場内配管内に錆を発生させ、金型冷却管内に堆積物を発生させる為、錆による冷却水流量の低下と、堆積物により金型の熱交換が低下してきます。
金型冷却の堆積問題で例を上げれば、
新型、更新型を製作して最初は湯回りが悪いが、数回鋳造して行く内に湯回りが良くなって来る事を経験された事は無いでしょうか?
ゲート方案、鋳造条件はそのままで。
一つに、金型冷却回路に水の体積物が付着してきて金型温度が上昇した事が原因と考えられます。
そのまま放置して、鋳造を続ければ金型温度が上がりすぎて、金型へのトラレ、焼き付き、ヒケ割れの原因となります。定期的に清掃が必要ですが、清掃と言っても!!大変な作業です。
ダイカストマシンを5台、10台で製造を行っている工場からすると人間で清掃するなんて何人かかるの?では、装置で清掃する事では?キレイに除去出来るの?洗浄液の廃棄処理は?
どんどん問題が出てきます。
一般のダイカストメーカーですと、放置されてるか、適当に掃除をしているだけ!が現状です。